司法試験 頻出一問一答
頻出テーマから20問。答えを思い浮かべてから開くと定着が早まります。
頻出一問一答
全20問Q1第三取得者が抵当権の実行を免れるための「抵当権消滅請求」(379条)ができる者は。
答え:抵当不動産の所有権を取得した第三者
主債務者・保証人とその承継人は請求できない(債務全額弁済義務があるため)。代価弁済(378条)は抵当権者側からの請求。
Q2自衛隊の合憲性について政府見解の骨子は。
答え:9条は自衛のための必要最小限度の実力の保持まで禁じていない
「戦力」に至らない自衛のための必要最小限度の実力(自衛力)は保持できるとする。
Q3国家賠償法2条の営造物責任の性質は。
答え:設置管理の瑕疵による無過失責任
公の営造物の設置管理に瑕疵(通常有すべき安全性の欠如)があれば過失を要せず賠償責任(高知落石事件)。
Q4根抵当権の元本確定前の被担保債権の範囲は。
答え:設定行為で定めた一定の範囲に属する不特定の債権(極度額まで)
398条の2=包括根抵当は禁止。確定前は随伴性がなく、被担保債権を譲渡しても根抵当権は移転しない。
Q5根抵当権の元本確定後にできることは。
答え:確定した被担保債権についての随伴性が生じ、債権譲渡に伴い根抵当権も移転する
確定により普通抵当権に近い性質となる。極度額の減額請求(398条の21)も確定後の制度。
Q6違法収集証拠排除法則に関する判例の立場は。
答え:令状主義の精神を没却する重大な違法があり排除が相当な場合に排除
最判昭53.9.7=違法の重大性と排除相当性の2要件で判断。
Q7チャタレー事件が示したわいせつ文書の判断基準(3要素)は。
答え:徒らに性欲を興奮刺激し、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること
「悪徳の栄え」事件では文書全体との関連(全体的考察方法)へ、「四畳半」事件では総合考慮へと基準が精緻化された。
Q8受領遅滞(413条)の効果に含まれないものは。
答え:債権の当然消滅
改正で効果が明文化された。債権自体は消滅せず、供託等により債務を免れる。
Q9公判前整理手続の目的は。
答え:充実した公判の審理を継続的・計画的・迅速に行うための争点及び証拠の整理
316条の2以下。裁判員裁判対象事件では必要的。証拠開示のルールも整備されている。
Q10募集株式発行の「不公正発行」該当性の判断枠組み(主要目的ルール)は。
答え:資金調達目的が主か、支配権維持・争奪への介入目的が主かで判断する
経営陣の支配権維持を主要目的とする発行は著しく不公正(忠実屋・いなげや事件等)。
Q11「通信の秘密」(21条2項)の保障内容は。
答え:通信の内容だけでなく差出人・宛先・日時等の外形的事項にも及ぶ
通信傍受法は令状主義の下の例外として厳格な要件を定める。
Q12適正手続の保障を定める憲法31条について、判例(成田新法事件)の立場は。
答え:行政手続にも趣旨が及び得るが、常に刑事手続と同一の保障が要求されるわけではない
行政手続への適用可能性を認めつつ、行政目的の多様性から総合較量で判断するとした。
Q13違法収集証拠の「毒樹の果実」論に関する判例の傾向は。
答え:第一次証拠との関連性の程度・希釈等を考慮して派生証拠の証拠能力を判断
覚醒剤事件(平成15年)等=違法な先行手続との因果性の密接性で判断する。
Q14更改と代物弁済の違いは。
答え:更改は旧債務を消滅させ新債務を成立させる契約、代物弁済は他の給付により既存債務を消滅させる
更改(513条)では担保・抗弁が原則承継されない点が債権譲渡・債務引受と異なる。
Q15無報酬の受寄者の注意義務(659条)は。
答え:自己の財産に対するのと同一の注意で足りる
無償寄託の軽減された注意義務。無償受任者は善管注意義務のまま(委任との違い)という対比が頻出。
Q16「事業のために負担した貸金等債務」の個人保証で公正証書が不要な者は。
答え:主債務者の取締役や支配株主等の経営者(465条の9)
経営者保証は保証意思宣明公正証書の作成義務の適用除外。
Q17最高裁判所裁判官の国民審査が行われるのは。
答え:任命後初の衆議院議員総選挙の際
79条2項。その後10年を経過するごとに総選挙の際に再審査。
Q18製造物責任法(PL法)で製造業者が責任を負う要件は。
答え:製造物の欠陥により生命・身体・財産に損害が生じたこと(過失の証明不要)
欠陥=通常有すべき安全性を欠くこと。開発危険の抗弁等の免責事由がある。
Q19二重売買における第一買主への背信と売主の罪責は。
答え:登記済みでない不動産の第二譲渡は原則不可罰だが、第一買主から登記協力義務との関係で横領罪の成否が論じられる(判例は中間省略等の事案で横領を認める)
不動産の「自己の占有する他人の物」性(登記による占有)を巡る古典論点。
Q20消費寄託(預金契約)の特徴は。
答え:受寄者は受寄物を消費でき、同種同質同量の物を返還すればよい(預金は消費寄託)
666条。預貯金契約には返還時期等につき消費貸借の規定の一部が準用される。